最低賃金改定、社労士の先回り術
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最低賃金の目安が出た今、社労士は何をすべきか?
厚生労働省から最低賃金改定の「目安」が発表されると、いよいよ今年もこの季節がやってきたな、と感じますよね。
この時期になると、顧問先の経営者や人事担当者から「うちの地域はどれくらい上がりそう?」「時給、いつから変えればいいのかな?」なんて相談がポツポツ届き始めるのではないでしょうか。
ただ、ここで一つ立ち止まって考えてみてほしいんです。
「都道府県ごとの正式な決定が出る8月下旬〜9月まで、とりあえず待っておこう」
……そう思っていませんか?
もしそうなら、ちょっともったいないかもしれません。
正式決定を待ってから動き出すと、10月の発効直前に慌てて給与計算を設定し直すことになりますし、何より「事前に申請しておけば使えたはずの助成金」を逃してしまうリスクだって出てきます。
目安が出た「今」だからこそ、社労士として先回りの提案をし、顧問先に「あ、この先生と契約していて本当によかったな」と実感してもらう大チャンスなんです。
なぜ「決定待ち」の姿勢だと、後手に回ってしまうのか?
多くの企業は、労働局からの正式な決定(8月下旬〜9月頃)が出揃ってから「さて、どうしようか」と給与改定の作業に入ります。でも、専門家である社労士の目線から見ると、この「決定待ち」にはいくつかの落とし穴があるんですよね。
まず何より、スケジュールの余裕がなくなります。
正式決定から10月1日の発効までは、実質1ヶ月ほどしかありません。
時給者だけでなく月給者の賃金チェック、就業規則(賃金規程)の改定、雇用契約書の巻き直し……これらを短期間で一気に進めるとなると、現場はかなりバタバタします。
さらに痛いのが、助成金の申請タイミングを逃してしまうことです。
事業場内最低賃金の引き上げや設備投資を支援する「業務改善助成金」などは、基本的に「賃上げをする前」に計画を立てて申請しなければなりません。直前になって慌てて時給を上げてしまい、「先生、うちって助成金使えなかったの?」と後から聞かれて悔しい思いをする……なんてケースは、実は毎年あちこちで起きています。
周りの企業が早め早めに動いている中で音沙汰がないと、「せっかく毎月顧問料を払っているのに、直前にならないと教えてくれないのかな」と、見えない不満が溜まってしまうかもしれません。
社労士の価値は「決まったあとの処理」ではなく「今の先回り」にある
最低賃金の対応を「10月からの給与計算の変更作業」とだけ捉えてしまうと、どうしても社労士の役割は「単なる事務代行」になってしまいます。
でも、顧問先が僕たち専門家に本当に求めているものって、作業の手早さだけじゃないですよね。
「世の中の動きをいち早くキャッチして、うちの会社がどう影響を受けるのか、今何をしておけばいいのかを教えてくれること」ではないでしょうか。
中央最低賃金審議会から「目安」が出た時点で、最終的な改定額のラインはある程度見えてきます。だったら、正式決定を待たなくても「仮にこの金額まで上がったら、自社はどうなるか?」というシミュレーションは今すぐ始められるはずです。
「決まってから作業する」のではなく、「目安が出た今、影響を受ける範囲を一緒に確認して、打てる手を提示しておく」。この一歩早い立ち回りこそが、顧問先との信頼関係をグッと深める一番の鍵になります。
正式決定前の「今」からできる、
先回り3ステップ
「じゃあ、具体的に今から何をすればいいの?」と思いますよね。
実務としては、以下の3つのステップで進めていくのが一番スムーズです。
影響を受けそうな従業員を、今のうちにリストアップする
まずは顧問先ごとに、今の給与データをもとに「目安額(+念のため数円上乗せした額)」を下回りそうな人をピックアップします。
ここで気をつけたいのが、パート・アルバイトの基本時給だけじゃなく、「月給制の従業員」です。年間平均の月間所定労働時間などで割って時給換算したときに、実は最低賃金を割っていた……というのはよくある罠なので、ここも忘れずにチェックしておきたいところです。
賃上げとセットで使える「助成金」を早めに提案する
対象になりそうな従業員が複数人いる企業には、賃上げと併せて使える助成金(業務改善助成金やキャリアアップ助成金など)の話を今から持ちかけます。
「正式決定が出てからだと申請が間に合わない可能性があるので、今のうちに条件を確認して準備しておきましょうか」と一言添えるだけで、経営者にとっては「自社のコスト負担を減らそうとしてくれている」と、とても心強く感じられるはずです。
10月までのスケジュール(ロードマップ)を見せる
「いつまでに何を決めて、いつ雇用契約書を結び直すか」という今後の段取りを、スケジュール表のようにして見せてあげましょう。事前に全体像が見えていれば、経営者も人件費の増額分を計算したり、商品の価格転嫁を検討したりと、落ち着いて次の準備を進められます。
ツールを使って、影響チェックは
「一瞬」で終わらせる
とはいえ……「言いたいことは分かるけど、全顧問先のデータを1人ずつ手作業で計算してチェックする時間なんてないよ!」というのが本音ですよね。
だからこそ、ここは日頃使っているシステムに頼ってしまいましょう。
たとえば「Cells給与」や「FORROU」といった労務・給与ソフトには、最低賃金チェックを効率よく進めるための機能や仕組みが備わっています。
「Cells給与」でサクッとリストアップ
Cells給与を使っているなら、登録されているマスターデータをもとに、設定した判定基準額(今回の目安額など)を下回る従業員をパッと一覧で抽出できます。
手計算だと面倒な「月給者の除外手当(通勤手当や時間外手当など)を引いた上での時給換算」も、システムを使えば計算ミスなく、あっという間にリスクのある人を可視化できます。
詳しい設定方法は Cells給与 のサポートページなどに載っているので、今のうちにパパッと確認して使ってみるのがおすすめです。
「FORROU」の給与レポートで自由度の高い分析を行う
FORROUを導入している場合は、「給与レポート」機能を活用するのがおすすめです。
FORROUの給与レポートでは、必要な項目を選択して給与データをCSV出力できます。取っておきたい数字を柔軟に反映して出力・加工できるため、「単なる時給のチェック」にとどまらず、顧問先の給与体系に合わせた分析や、経営者へ見せるためのシミュレーション資料作成にも便利です。
ツールを武器に、顧問先の「一番の理解者」へ
最低賃金改定のニュースが流れると、多くの経営者は「また人件費が上がるのか……」と不安な気持ちになります。
そんな時に、目安が出た直後のタイミングで
と声をかけてくれる社労士がいたらどうでしょう。
きっとその経営者にとって、その社労士は単なる手続きの委託先ではなく、「会社の事業に欠かせない頼もしい伴走者」に見えるはずです。
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