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採用活動で「働きやすさ」をどう伝えるか?
求職者に安心感を届ける、労務管理の見える化

公開日

「労働環境には自信があるのに、求人を出してもなかなか応募が来ない」
と顧問先から相談されることはありませんか。

実際に話を聞いてみると、残業時間は少なく、有給休暇も取りやすい。従業員同士の関係も悪くなく、経営者自身も「うちは働きやすい会社だ」と感じている。

それでも応募につながらない背景のひとつには、その“働きやすさ”が、求人票や採用ホームページ等で十分に伝わっていないことがあります。

採用活動で大切なのは、「アットホーム」「風通しが良い」「働きやすい」といった言葉で雰囲気を伝えることだけではありません。
求職者が「この会社なら安心して働けそうだ」と判断できる根拠を示すことです。

働きやすさを伝えるには、求職者に伝わりやすい根拠が必要

では、求職者が求人票や採用ページを見たときに、その企業で働く姿を具体的にイメージしてもらうにはどうすればよいのでしょうか。

有効なアプローチのひとつが、主観的な言葉に頼るのではなく、客観的な数値や事実で示すことです。

たとえば、「有給休暇が取りやすい雰囲気です」と書く代わりに、

  • 「平均有給休暇取得日数:〇日」
  • 「平均残業時間:月〇時間」
  • 「育児休業取得実績:〇名」
  • 「男性育児休業取得実績あり」
  • 「直近1年間の離職者数:〇名」

といった情報を示すことで、求職者が受け取る印象は大きく変わります。

求職者が企業の情報を調べるとき、財務面については決算公告や企業情報などから一定程度判断できる場合があります。一方で、労務管理の状況や職場環境といった非財務面の情報は、外からは見えにくいものです。

そのため求職者は、求人票や採用ページに書かれた言葉などの限られた情報をもとに、「安心して働ける会社かどうか」を判断することになります。

だからこそ、求人票や採用ページの説得力を高めるには、企業の労務管理の状況を整理し、客観的に示せる状態にしておくことが重要だといえます。

労務管理の健全性を見える化する「経営労務診断」

客観的な数値や事実で示す以外に、求職者からの信頼を高める方法として、各種認定制度も有効です。

たとえば、「くるみん」や「えるぼし」、「健康経営優良法人」等といった公的な認定制度。

これらは、子育て支援や女性活躍、健康経営など、特定分野における企業の取り組みを示す認証である一方、一定の基準を満たす必要があるため、中小企業にとっては申請へのハードルが高く感じられる場合もあります。

そこで、社労士だからこそ提案できるアプローチが、労務管理全般を確認し、見える化する「経営労務診断」の活用です。

経営労務診断は、全国社会保険労務士会連合会が進める「社労士診断認証制度」のひとつです。社労士が企業の労務管理に関する基本的な事項を確認し、一定の要件を満たした企業が認証マークを活用できる仕組みです。

診断の対象となるのは、何か特別な社内制度を新しく作ったり、高い数値目標を追いかけたりするものだけではありません。

たとえば、

  • 「36協定が正しく締結・届出されているか」
  • 「就業規則や各種規程が整備されているか」
  • 「労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などの法定帳簿が整っているか」
  • 「労働時間や休日、休暇の管理が適切に行われているか」

といった、労務管理の基本が確認の対象になります。

つまり、社労士が日頃から顧問先のために行っている「当たり前の整備」が、企業の信頼性を示す客観的な材料につながるのです。

「うちの会社はちゃんとしている」という経営者の自信を、主観的な言葉ではなく、認証マークや確認結果といった客観的な情報として示す。
これにより、求人票や採用ホームページの言葉にも説得力が生まれます。

経営労務診断が中小企業にフィットする理由

経営労務診断は、採用に悩む中小企業にとっても活用しやすい制度です。

ひとつは、労務管理全般の健全性を示せる点です。

特定の分野(子育てや女性活躍など)だけをアピールするのではなく、「基本的な労務管理を誠実に行っている会社であること」を示せるため、求職者やその家族にとって安心材料になります。

次に、日頃の労務管理の延長線上から始められる点です。特別な制度や大規模な福利厚生を新たに用意するのではなく、すでに行っている労務管理の整備状況を見える化できるため、中小企業にとっても取り組みやすい制度といえます。

社労士の支援価値を高める、日頃のデータ管理

求人票や採用ホームページの表現改善だけでなく、労務管理の実態を整理し、客観的に示すところまで支援できる。これは、社労士ならではの専門性を発揮できる領域です。

一方で、顧問先の採用力向上につながると分かっていても「申請に向けた現状把握や、必要なデータを掘り起こす実務負担が重い」という理由から、提案をためらってしまうケースは少なくありません。多忙な社労士にとって、データ収集に時間を取られるのは避けたいところです。

そこで重要になるのが、日頃からの労務管理の仕組み化です。

たとえば『台帳』や『FORROU』を日々の実務で活用している社労士事務所であれば、経営労務診断の申請に必要な確認項目のうち、「労務管理等に関する数値情報」の多くは、すでにシステム内に集約されています。

【台帳での一例】

「賃金分析」機能で給与水準、採用・離職状況、残業時間等の分析資料を作成できます。

【FORROUでの一例】

「事業所ダッシュボード」機能で、日々の給与(賞与)計算等で蓄積されたデータから、労務管理状況のグラフ・表が自動作成されます。

社労士は「データ集め」に追われることなく、「普段の活動で集まった客観的データを使って、顧問先の魅力をどうアピールするか」という、本来の採用支援に時間とエネルギーを注ぐことができるのです。

採用活動に、労務管理の裏付けを

採用難に悩む顧問先に対して、求人票の表現改善だけでなく、労務管理の実態を客観的に示す支援まで提案できることは、社労士ならではの強みです。

「働きやすい職場です」
「人を大切にする会社です」

こうした言葉そのものが悪いわけではありません。
大切なのは、その言葉を支える客観的な根拠があるかどうかです。

経営労務診断は、その根拠を求職者に伝わる形で示すための、ひとつの有効なアプローチです。

採用活動で発信する言葉に、日頃からの労務管理でしっかりと裏付けを持たせる。その視点を持つことで、社労士は顧問先の採用支援においても、より専門性を発揮しやすくなるのではないでしょうか。

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