【コラム】2020年4月から始まったマイナポータル申請とは?

社会保険の手続きにおいて電子申請の義務化が4月1日より始まりましたが、その義務化に併せてスタートしたマイナポータル申請をご存知でしょうか?

今後はこれまでのe-Govを利用した電子申請の他にGビズID認証を利用したマイナポータル申請との2つのプラットフォームが誕生することとなります。

  • 「マイナポータル申請ってなに?」
  • 「マイナポータル申請とe-Govの違いとは?」
  • 「実務にどのような影響があるの?」

など疑問・不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、マイナポータル申請の概要や申請方法について解説していきます。

マイナポータル申請とは

これまでは、協会けんぽ、厚生年金、雇用保険、労働保険年度更新申告などの手続きにおいて、インターネット経由で申請する場合、総務省の「e-Gov電子申請」しか選択肢はありませんでした。

ただ、2020年4月からは、GビズID認証を利用した「マイナポータル申請」が追加され、協会けんぽ、厚生年金、雇用保険の主要な手続きにおいて、電子申請が可能となりました。

従って、電子申請手続きは「e-Gov電子申請」と「マイナポータル申請」の2つのプラットフォームで行うことができるようになりました。
※2020年4月現在のGビズIDでの申請可能な手続きについてはこちらをご確認ください。

マイナポータルを利用した電子申請にはID・パスワードによる申請が可能になる「GビズID」が深く関わっています。

「GビズID」とは、端的に言うと1つのアカウントで複数の行政サービスにアクセスできる認証システムのことです。

これまでの電子申請には有料で取得する必要がある電子証明書が必要でしたが、今後は無料で取得できる「GビズID」を利用することで、気軽に電子申請を行えるようになります。

「GビズID」についての詳細はこちらの記事をご確認ください。

※2020年4月3日時点では、一部のPC環境下では下記のエラーが生じて申請ができないようです。これから届書作成プログラムを利用したマイナポータル申請をお考えの方はお気をつけください。 (メッセージID:SE99001 異常終了しました エラー情報(00000999))
2020年4月7日時点では復旧したようです。

マイナポータル(GビズID)を利用して申請する方法は?

GビズIDとマイナポータルを利用して申請する方法は2パターンあります。

① 民間ソフトウェアベンダーが作成した申請ソフトで申請する方法

② 年金機構HPからダウンロード可能な「届書作成プログラム」を利用して申請する方法

2020年4月現在では、①の弊社を含む民間ソフトウェアベンダーは対応ができていないため、現在ではパターン②の「届書作成プログラム」を利用した方法のみマイナポータルを利用した申請が可能となります。
具体的な申請方法についてはこちらをご確認ください。

マイナポータル申請とe-Gov申請の違いとは

次にマイナポータルとe-Gov電子申請にどのような違いがあるかを見ていきます。

マイナポータル e-Gov
電子証明書 不要 ※一部手続きにて必要 必要
GビズID対応 2020年4月 2020年11月対応予定
対応帳票 約10種類(2020年4月時点) 100種類以上
届出作成プログラム 対応 対応なし
手続帳票イメージ 帳票イメージなし 帳票イメージあり

上記の中での大きな違いはやはりマイナポータル申請の場合には電子証明書が不要になることでしょう。
前述しておりますが、マイナポータル申請ではGビズIDの利用により電子証明書が必要なくなり、無料で気軽に電子申請が可能となります。そのため、今後は電子申請を始める一般企業が増えていくと予想されます。

「届書作成プログラム」とは

届書作成プログラム

届書作成プログラム起動メニュー

「届書作成プログラム」は、日本年金機構から提供されている届書を作成・申請できるプログラムで、無料でダウンロードすることができます。
弊社のシステムや他社のソフトをご利用の場合には、「届書作成プログラム」で行うことができる機能がすでにソフトに内蔵されているため実際に操作する機会は少ないかもしれません。

いままでは届書作成プログラムでは手続きの作成のみ可能で申請や進捗の管理などはできませんでしたが、2020年4月のGビズID対応のためのバージョンアップにより作成・申請の他手続きの管理も可能となりました。
その他にも別途インストールの必要があった申請内容をチェックするための「仕様チェックプログラム」が内蔵されるなど様々な機能が追加されています。

下記に2020年4月での機能追加やバージョンアップでの変更点や申請可能な手続きをまとめました。

2020年4月のバージョンアップの変更点

  1. 「届書作成プログラム」で手続きの作成の他、申請やその後の申請管理までも可能になった
  2. 「届書作成プログラム」に仕様チェックプログラムが内蔵された
届書作成プログラムにより電子申請可能な手続きの種類
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届/厚生年金保険70歳以上被用者賞与支払届
  • 健康保険 被扶養者(異動)届/国民年金 第3号被保険者関係届
  • 国民年金 第3号被保険者関係届

【参考】(1)【GビズID】届書作成プログラムを利用して届書データ(CSVファイル)を作成される方向け(PDF 3,121KB)

これからは、給与計算ソフト等で算定基礎届や賞与支払届といった手続きのCSVファイルをCDに書き出して申請していた方は、「届書作成プログラム」を利用することで電子申請が可能となります。

また、特定法人の電子申請義務化に該当する企業などでは、無料で利用することができて、義務化の手続きを最低限押さえている「届書作成プログラム」を利用することで、義務化に対応したに電子申請処理を行うことができます。

「マイナポータル申請」の登場による実務への影響は?

まず第一に弊社ソフト労務管理システム「台帳」をご利用のユーザー様は、GビズIDを利用しない「e-Gov電子申請」のため、今日現在では特に影響はありません。

社会保険労務士として、実務に影響する内容としては「提出代行証明書」の取り扱いの変更が挙げられます。
新規顧問先を獲得した際の提出代行証明書は新しい様式を利用する必要があります。
具体的な取り扱いにつきましては下記の記事にまとめておりますのでご確認ください。

2020年4月から始まったマイナポータル申請とは? まとめ

マイナポータル申請について理解を深めていただけましたでしょうか。

GビズIDでの申請は電子証明書が不要で手軽に始められるため、顧問先からの質問もあるかもしれません。
そのためにも一度マイナポータル申請にて手続きを行い、どのような管理が必要か、公文書がどのように返ってくるかなどを確認しておくと間違いないでしょう。今後弊社でも実際に申請を行った後、別の記事にて申請方法をご案内致します。

また、2020年4月より電子申請義務化が始まり、特定の法人に関しては電子申請が義務化されましたが、今後は電子化の波は避けられないため、中小企業にも義務化が及ぶ可能性があります。どんな状態になったとしてもいつでも対応ができるよう電子申請をまだ始められてない方はこれを機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。