厚生年金保険法 標準報酬月額の等級区分改定について

2020年7月20日追記:年金機構より、「厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定」について正式な案内がありました。
弊社ソフト「台帳」では、等級上限変更の影響を受ける対象者を抽出し、おしらせを出力する機能をご用意する予定です(7月下旬以降予定)。
2020年7月22日追記:※事業所台帳の個人情報に新標準報酬月額を登録(更新)する機能については、9月頃対応を予定しています。

 

「厚生年金保険法の標準報酬月額の等級区分の改定等に関する政令案(仮称)」について、令和2年6月23日から、パブリックコメントによる意見募集が開始されました。

改正案

厚生年金保険法の規定に基づき、令和2年9月1日から適用する標準報酬月額の等級区分について、現在の最高等級の上にさらに1等級を加えるための必要な読替えを行うとともに、 同日から適用する標準賞与額の最高限度額を定めようとするものです。

具体的には、厚生年金保険の標準報酬月額の等級区分について、
現行の最高等級(第31級: 620,000 円)の上に、さらに1等級(第32級:650,000 円)を追加しようというものです。

なお、この等級区分の改定が行われたときは、厚生年金保険の標準賞与額の最高限度額も「政令で定める額」とされますが、その額は、現行と同額の「(1か月あたり)150万円」とされる模様です。

意見募集の締切は、令和2年7月22日となっています。

パブリックコメントの詳細はこちら

改正の経緯

先の社会保険審議会年金部会(令和元年10月30日)にて、標準報酬月額の上限改定が議論されていました。
上限改定にあたり、下記のポイントが挙げられていました。

改定のポイント

  1. 平成28年より、各年度末時点で、全厚生年金被保険者の平均標報の2倍が標準報酬月額の最高等級である62万円を超えている状況が続いており、今後も継続する蓋然性が高い
  2. 令和2年3月末においても、全厚生年金被保険者の平均標報の2倍が62万円を超えていることが確認された場合、令和2年9月から、政令改正により標準報酬月額の上限を引き上げる(現行の最高等級(第31級:62万円)の上に、さらに1等級(第32級:65万円)を加える)。

改正の根拠
標準報酬月額の等級区分について
法第 20 条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分について、同条第2項の規定に基づき、健康保険法(大正 11 年法律第 70 号)第 40 条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、現行の最高等級(第 31 級: 620,000 円)の上に、さらに1等級(第 32 級:650,000 円)を加えるための必要な読替えを規定する。(第 1 条)

(参考)法第20条第2項
 毎年三月三十一日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の百分の二百に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の九月一日から、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。(定時決定)

標準報酬月額の上限改定の考え方の経緯
過去、下記のような経緯があり、法改正がおこなわれてきました。
たびたび改正があったものの、厚生年金の上限追加はおよそ20年ぶりになります。

※出典:第13回社会保障審議会年金部会 2019年10月30日 資料2

 

交付日、施行時期(予定)

公布日:令和2年8月下旬(予定)
施行期日:令和2年9月1日(予定)

上限改定による実務的な影響

  • 31等級の被保険者が32等級となることで、労使双方で保険料負担が増加
  • 算定基礎届 決定通知書は62万円で届くのか、新等級65万円の案内が間に合うのか
  • 算定基礎届の決定通知書をもとに標準報酬の更新をおこなう際、「台帳」のデータは62万円で保存されている。65万円の等級対象者をチェックする必要がある
  • 6〜8月月変対象者はどうなるのか
  • 二以上勤務者はどうなるのか

上記改正は、現段階では予定でございます。
弊社では引き続き情報を収集し、法改正対応について検討して参ります。