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SR Meeting 2019 エストニア視察 (前編)

SR Meeting 2019 エストニア視察の目的

99%の公共サービスを24時間365日オンラインで利用できる社会であり、日本の要人が挙って訪問している、世界最先端の「電子国家」エストニア。
行政手続きを電子申請化する「デジタルファースト法」が日本でも成立し、電子申請義務化や、GBizIDなどの電子政府化の動きが進んでおりますが、そのロールモデルとされている国家です。

  • なぜ人口130万人程度の小国エストニアが電子政府化を進めたのか。
  • 日本はエストニアのような電子政府になりうるのか
  • エストニアのデジタルID(日本でのマイナンバー)がなぜ普及したのか等

今後の社労士業界の行く先を確認するため、弊社とエフアンドエム株式会社、数名の社労士の先生にご参加いただき、11月10日(日)から17日(土)にわたり、エストニアとドイツ合わせて7つの視察先に訪問いたしました。

AMELLO Raamatupidamisteenused (アメッロ・ラーマトゥピダミステーヌセッド)

【概要】
1999年に会社設立され、2019年8月時点にて従業員数17名
会計サービス、会計に関するビデオレクチャー・研修、会社設立のサポート、内部監査サービス、インベントリサポートなど幅広いサービスを提供
大企業だけでなく、中小企業や零細企業へのサービス提供にも力を入れている会計事務所

【視察内容まとめ】
-アメッロ・ラーマトゥピダミステ-ヌセッドの組織、事業内容について
-エストニアの税制について
-利用してる会計ソフトの紹介

【視察内容】
こちらの会社はエストニアにある会計事務所の1つで、会計サービス、会社設立のサポート、内部監査サービス、インベントリサポートなど幅広いサービスを提供している会社です。こちらの会計事務所では前提となるエストニアの税制から利用してる会計ソフトの紹介を受けました。

デジタル化されているエストニアの税制

エストニアでは民間企業の間で利用できるシステムとして、国に「X-Road」というシステムがあり、その「X-Road」を利用ことにより様々なサービスがデジタル化しています。
また、エストニアは国民全員に11桁の番号が付与されたデジタルIDカードを発行しており、個人認証のための仕組みが整っています。最近ではデジタルIDカードに追加して「mobileID」,「SmartID」で携帯電話で個人認証をすることもできます。
日々の生活に役立つ情報は誰もが利用できますが、個人情報の閲覧にはログファイルが残るため、興味本位で勝手に見ることができず、見た場合には罰則が課せられます。

税務署のポータルに入力することによるワンストップサービス

エストニアでは税務署に申告するデータはすべてデジタルで行います。
今回は参考例として税務署のポータルサイトで入力していただき、実際の申請を見せていただきました。
下記のような単純な作業でデジタルでかつ、ワンストップで情報が行き渡ります。

  1. 税務署のポータルにログインします。デジタルIDを入力すると、SMSでの連絡が届き、その数字とピンコードを入力することでログインが可能できます
  2. ポータルの中に入ると「従業員登録画面」があり、その画面に、従業員のデジタルIDや雇用開始日などの個人情報を入力していきます。
  3. こちらのサービスも「X-Road」を利用したワンストップのサービスになっており、一度入力すれば年金保険、社会保険に関する情報なども引っ張ってくることができるワンストップの仕組みです。

こちらの会計事務所では様々な顧問先の要望に答えるため、5つの会計ソフトを使いこなしていますが、「X-Road」に繋がっているものは会計ソフトのうち8割くらいで、 「X-Road」に繋がっていないと不便なため、基本的には繋げられないソフトは利用していないそうです。

エストニアの請求書サービス

エストニアでは請求書を発行する際には、デジタル上で処理を行うことが義務になっています。銀行の振込なども、請求書のデータをデジタルで読み取り、処理できるように進められています。
デジタル請求書はxml形式(すべてのデータベースが読むことができる拡張データ)になっており、xml形式をどのサービスでも利用しているためどの会計ソフトでも情報共有ができるようになっていました。

ただ、まだデジタル請求書サービスに対応していない会社も多いため、対応していない場合には「envoice」という民間が利用しているサービスを利用してデジタルで処理します。写真で請求書を撮影すると、デジタルで処理することが可能となります。
一枚ずつではなく、会計士が請求書をまとめてアップロードして、通常のデジタル請求書と同じように仕分けられるような仕組みが整っており、データの正解度に不安が残るとの質問もありましたが、約98%の確率で処理が進むそうです。逐一データ入力する手間もなく、「envoice」のサービスも「X-Road」を利用しているため、スムーズに処理を流すことができるようでした。

今後の会計事務所の運営について

こちらの会計事務所では、働き方自体は自由ではあるものの、会計ソフトの中ででどの仕事でどれくらいの時間がかかったかなどのログをとっており、その情報により仕事の評価をしていました。
手続き自体はデジタル化されているため、今後の会計事務所でやっていくためには、分析能力を磨きコンサルティングとして能力を発揮する必要があるとおっしゃっていました。
日本でも手続きが簡略されていく未来が見えているため、遠い国のことと考えず、事務所経営を考えさせられる視察先でした。

ワンストップが実現している社会ですべてがデジタルになっているため、顧客に紙を求められない限りは完全にペーパーレスになっているそうです。カラフルな空のバインダーが並んでいる本棚がペーパーレスを物語っていました。

LEINONEN (レイノネン)

【概要】
幹部のほとんどがフィランドや北欧の出身で、フィンランドをルーツとする会計事務所です。この25年間の間、レイノネン・グループは常に活動範囲を広げ、現在12カ国(フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、
エストニア、ラトヴィア、リトアニア、ポーランド、ブルガリア、ハンガリー、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)、合計14のオフィスで活動している国際的な会計事務所です。
タリンの事務所は1998年開設、従業員40名(2019年6月)地元の企業はもちろんですが、主なクライアントは北欧・バルト・東欧でビジネスを行っている外資系企業です。
各地のオフィスの特徴を活かし、地元に適した最善・最新のサービスを外資系の企業に提供することを目標としている企業です。
主なサービスとして、会計サービス、給与計算サービス、カウンセリングサービスなどがあります。その他会社設立のお手伝いもしています。

【視察内容まとめ】
レイノネン・グループの組織、歴史について
レイノネン・タリンオフィスについて
エストニアの税制について
利用してる会計ソフトの紹介

【視察内容】
こちらの視察先ではエストニアの税制の他、エストニアの社会保障などについて説明を受けました。

エストニアの社会保険について

エストニアの社会保険は健康保険と社会保険(年金と社会保険)と失業保険に分かれており、税金は33%(社会税20%、健康保険13%)になっています。日本では社会保険料などを会社と個人で折半で負担しますが、社会税を支払う義務は会社にあるため、給与からの天引きになるが従業員が負担することがないような制度になっています。

エストニアで税金を払わないケースは様々ありましたが、ワンストップが実現している社会では、例えば、子どもができて、妊娠が確定された時点で医者が情報を入力して、税金を支払わなくてもよくなる制度になっておりました。

また、エストニアは私立病院がなく、全て国が運営しており、すべての情報が管理されています。そのため、病院にかかった際の自己負担のお金がかからない他、健康保険などの手続きが全くなく、医者の判断以外の別のなにかしらのサービスを利用したい場合に費用がかかる程度でした。

エストニアの年金システム

エストニアの年金システムは日本と似ており、現在63歳になったタイミングで年金が出る第一の柱と、1983年生まれ以降の方が給料と別途支払う給料の2%の税率を支払う第2の柱。また、第3の柱として個人の申請により銀行で貯められ、所得税が除外される日本のIDECOのような制度となっておりました。

REGISTRITE JA INFOSUSTEEMIDE KESKUS&RINGI INFOSUSTEEMI AMET(RIC)

【概要】
RICは、エストニアの法務省が管轄している国家機関であり、効率的なe〜サービスを提供する革新的な国家管理、法的および刑事政策の実施している。約70を超える様々なシステムと様々なレジスターを開発および管理しています。

【視察内容まとめ】
-エストニアのIT政策について
-RICが提供しているサービスについて
-法人設立など

【視察内容】
RICは、エストニアの法務省が管轄している国家機関であり、効率的なe〜サービスを提供する革新的な国家管理、法的および刑事政策の実施している。約70を超える様々なシステムと様々なレジスターを開発および管理しています。

電子政府を成り立たせるための法律と取り組み

エストニアの根本的な考えとして、個人情報は紙ベースで残さず、デジタルのみで管理することを考えています。そのデジタル管理のなかの問題として、「情報管理の複雑さ」が挙げられます。
そのため、2度同じ情報が管理されないような工夫がされており、新しいサービスが作られたときにはX-Roadを管理している機関に登録することが必要となるなど情報管理が徹底されています。

会社設立は2時間で終了

エストニアも会社設立の際には公証人が必要で、会社設立までに5日間程度かかっていたようですが、デジタル化が進んだ今では、2時間程で会社設立が可能となり、公証人なしでデジタルIDでできるようになっておりました。会社設立のためには専用の画面に必要なデータを入力して、会社設立に必要な経費(最低限の資本金は2,500ユーロ)を振込だけで、すべてがデジタル完結されており、画面に従って進めるだけで簡単に会社設立を終わりにすることができるようになっておりました。

MOONCASCADE

【概要】
元スカイプ社のエンジニア2名を含む、エンジニア4名が立ち上げたエストニアを牽引する今年10周年のソフトウェア開発会社。エストニアでのスタートアップの情勢やスタートアップの会社向けにソフトを開発する会社で、10年間で国内、海外含めて200製品以上の開発実績あり。人数は全体で90名程で携帯電話用のアプリ作成チームが20名、バックエンドの開発者が15名、フロントエンドの開発者が20名、UX/UIなどのデザイン関係が 7〜8名で行っている会社時期によって変わってくるそうですが、平均的には一年間続くケースが多いプロジェクトを10プロジェクト程並行している

【視察内容まとめ】
-MOONCASCADEの組織、事業内容について
-現在のMOONCASCADEの開発体制
-開発実績と現在のプロジェクト

【視察内容】
こちらの会社はエストニアにある会計事務所の1つで、会計サービス、会社設立のサポート、内部監査サービス、インベントリサポートなど幅広いサービスを提供している会社です。こちらの会計事務所では前提となるエストニアの税制から利用してる会計ソフトの紹介を受けました。

スタートアップの会社への様々な開発実績

こちらの視察先では例えば「monese」という会社で現在ユーザー1,000万人程のアプリケーションで、銀行よりも安く振込を行うことができるソフトをスタートアップの会社に提供されていました。

また、会社のCEOが運動が好きで、指導員がどれくらい運動したかどうかを管理することができるようになっている「ジムウルフ」というソフトを自分で開発していました。

海外ならではの柔軟な働き方

働き方は柔軟になっており、2時間毎に休憩があり、職場に本格的なレーシングゲームをするなどリフレッシュするための環境が整っていました。その反面仕事の進め方として、1週間毎の顧客への進捗報告があり、最終的な納期に遅れた場合には20%のディスカウントがあるなど自分の仕事がそのまま反映される仕組みになっており、実力主義の社会が垣間見れました。
また、仕事の進め方としてチームワークを大事にしており、社員は「家族」だとおっしゃられるほど社員のことを大事にされている会社で人を雇うときもまずは技術力ではなく考え方を重視していました。
社員に対しては「teck talk」として、技術者の勉強会を毎週水曜日開き、従業員の技術力の向上のための場なども用意していました。

前編は以上です。
後編はこちら

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